-岩場に確実に辿り着けること
ガイドブックを作成する際は徹底した現地調査を行いました。
写真解説付きアプローチマップを作成し、初めての岩場でも迷うことなく目的地に到着できるガイドブックを追求しています。
-登りたいルートを的確に見つけることができること
ガイドブック掲載ルートはほぼ全て著者自身が登って確認調査を行いました。
現地でイラストを書き起こし、全エリアにて詳細なルートマップを1から作成しました。
-歴史、パイオニア、物語からクライミングの文化を伝えること
ガイドブックには著者以外にも多くの著名クライマーが寄稿。単なるガイドブックではなく、岩場やクライミングの歴史を感じられる読み物としての魅力も追求しました。
寄稿者:シュテファングロバッツ、平山ユージ、室井由美子、吉川弘、北山真、室井登喜男、菊地敏之、倉上慶大、植田幹也、小林敏、中根穂高ほか
-1枚の写真が人生を変える
岩場やルートの魅力を伝える最良の手段は、クライマーの感性に訴える美しい写真です。
現地調査にはプロのカメラマンが同行し数千、数万の写真を撮影しました。
最新の小川山ガイドブックではドローンを駆使し、クライマー目線のアングルでの写真も多く撮影。
ガイドブックには厳選した写真120点以上を掲載しています。
-世界中のクライマーに登りに来てもらう
瑞牆クライミングガイドは英語版を作成しました。
最新の小川山ガイドブックでは二か国語対応とし、アプローチ、メインインフォメーション、ルート名など英語併記にて制作しました。
著者紹介(小川山クライミングガイドより)
「明日は杉野君と自由登攀旅行ね」
はじめましてからたった数日の人に、まさかそんなことを言われるとは思っていなかった。瑞牆本の制作に初めて呼ばれたこの時から、もう10年が過ぎた。そして内藤監督の人使いの粗さは、今も全く衰えていない。
内藤さんはずるい人だ、と僕は思う。モデルのクライマーが岩壁に舞い踊る姿を撮る格好いい現場を想像していくと、その大半は謎多きルートの発掘や、精神的に堪えるような難敵退治だったりする。スケジュールもなかなか強行で、「明日はこれで、明後日はあれだ」とどんどん予定が詰まっていく。いざ岩場に行くと、大抵荷物の脇に寝転んでいるか、岩の絵を描いていて、気づけばどこかへと姿を消している。しかし撮影を終えてテントに戻ると、食べきれないくらいの夕飯を用意して待ち構えている。そしてその日撮れた写真を見て、他の誰よりもはしゃいでいるのだ。僕のような単純な男は、この緩急のついたやり口でまんまと手玉に取られてしまったというわけだ。しかし撮影チームには、僕とは明らかに気質が違いそうな人も出入りしている。どうもそうした人たちには、腹ペコの若造とは違った攻略法を採っているらしい。なんだか怖くなってきた。
もういい歳なのだから大人しくしてください、と思いつつ、眼鏡の奥にある相変わらず少年のようなその眼差しを見てしまうと、次の無茶ぶりを待っている自分がいることに気づく。今後も当分、それは続くだろう。
(文:中嶋渉)