痛みのないクライミングを目指そう!ケガに関する豆知識 ~1~
こんにちは!PUMP新宿店ことパンプクライマーズアカデミーのフィジカルトレーナー、寺町です!
今回は、どんなスポーツにもつきもの、【ケガ】に関する豆知識をお話ししたいと思います。
痛みをこらえて試合に出て優勝・・・なんて美談。よく聞きますよね。日本中の人々が感動するような話がニュースとして取り上げられたりします。
個人的には、そんな根性論とか精神論、嫌いではありませんが(笑)、トレーナーとしてはダメと言わなければならない時があります。
脳震盪など今後の選手生命だけでなく、本当の生命が脅かされること。正しい判断が出来ない未成年の、将来の芽をつぶすようなケガをさせてしまうこと。こういったことは、絶対に起こしてはいけないと思います。
また、競技者自身・保護者・指導者はそういったケガに関する知識が十分でない可能性もありますので、そこを補う為にもトレーナーの役割は重要だと考えています。
また、一般にスポーツを楽しむ方であっても、どうせやるなら痛みを抱えてやるよりも、痛みなく全力で楽しんでもらいたい。より長くスポーツを楽しんでもらいたい。そう思っています。
今回は、痛みの原因となる【ケガの種類】についてお話します。
ケガの種類は大きく分けて2つある
ケガは、大きく分けると2種類に分類されます。
それは、【急性のケガ】と【慢性のケガ】に分けられます。ケガの種類によって対処方法も違ってくるので、もし痛みが出た時に、急性のケガなのか慢性のケガなのか、を考えると良いと思います。
急性のケガと慢性のケガの違いを簡単に判別するには、痛みが出た時の状況で考えると良いかもしれません。
ある特定の動きを1回したときに痛みが出た場合は【急性のケガ】である場合が多く、気が付いたら徐々に痛みが強くなっていった場合は【慢性のケガ】である場合が多いです。
クライミングにおける急性のケガ
急性のケガは、骨や靭帯、筋肉などが1回の衝撃で傷つくケガになります。
なので、先ほども述べたように、ある特定の動きを1回したときに大きな痛みが出てきます。また、重症のケガであれば、その時に筋や腱の断裂音を聞くこともあります。目に見えるような腫れや変形も見られることもあるでしょう。
クライミングにおいて、どのような急性のケガがあるでしょうか。
・フォールしたときの、骨折や脱臼、頭部外傷、打撲
・マットへ着地する際の、足首の捻挫、膝の捻挫
・ヒールフックで力を入れた時の、もも裏の肉離れ
・いわゆる、指のパキリ
こういったケガは、骨・関節・靭帯・筋肉など、体の組織そのものを痛めているので、炎症症状が強かったり日常生活に支障をきたす場合は、早急に病院受診することが好ましいでしょう。
頭部外傷の場合は、その時に問題なくても数時間後に劇的に悪化する場合があるので必ず病院受診を。
クライミングにおける慢性のケガ
慢性のケガは、体の特定の部分への繰り返しかかる負荷によって傷つくケガになります。
なので、痛めた本人もいつ痛めたのか覚えていないことが多く、最初は違和感だったけど気が付いたら痛みに変わっていたということがしばしばあります。
クライミングにおいて、どのような慢性のケガがあるでしょうか。
・前腕を酷使することによる、肘の内側の痛み
・筋肉の柔軟性低下による、腰痛、肩痛、膝痛など
・ホールドを持つことで繰り返し負荷がかかることによる、指の痛み
・関節にストレスがかかる角度での使い過ぎによる、膝や手首の痛み
慢性のケガは軽度の痛みから始まることが多いので、急性のケガよりも放っておかれる確率は高いのですが・・・1つ注意が。
特に、成長期の子供の場合は、慢性の痛みをそのままにしておくと骨のケガにつながることが多くあります。例えば、ただの腰痛だと思って放置しておいたら【腰椎分離症】になってしまった。指の痛みを我慢していたら、【疲労骨折】になってしまった。肘の痛みが続き、ひどくなったので病院に行ったら【離断性骨軟骨炎】と診断された。
・・・・など。そうなってしまうと、完治するのに非常に時間がかかります。また、もしかしたら今後の競技人生まで大きく影響してしまう可能性もあるのです。
痛みは「身体の声」である
今回はケガの種類についてお話しましたが、痛みというのは「身体(からだ)の声」だと思います。
その声に向き合っていくことが、長くクライミングを楽しむ・クライミングが強くなることにつながっていくのではないかと思います。
次回は、急性のケガと慢性のケガの対処方法についてお話していきたいと思います!